投資 金融リテラシー

金融商品(その1) ー 基本的な商品

以前、資産形成にあたっての評価軸として物価を取り上げました。

将来のことを考える(その2) ー 物価とは?

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資産形成は、将来年金受給額に不安を抱える世代にとってとても重要なことです。特に20代~30代の方は、これから30年、40年と資産形成と付き合っていくわけですから、将来の物価が資産形成に与える影響は少なくありません。

ですが、金融商品が物価とどのように関係しているか教えてくれる人はほとんどいないのです。

金融のプロと言われる人たちもこの点についてはほとんど教えてくれません。彼らが理解していないわけではありませんし、わざと隠しているわけでもないと思います。「絶対ではないから喋らない」といった事情ではないかと考えています。
ですから、資産形成にあたって金融商品と物価の関係性をみなさん自身で把握しておくことがとても大切です。

さぁ基本的な金融商品と物価との関連性について考えていきましょう

こんな方におすすめ

  • 資産形成をはじめたけどどの商品を選べばいいのか迷っている人
  • 今行っている資産形成でいいのか不安に思っている人
  • セールストークに乗せられやすい人

 

金融商品とは

金融商品は金融に関する契約によって取引される商品のことを指します。

ふっちゃん
契約??取引??
ど、どういうこと…?

お金のやり取りが発生する行為は、場合によっては命にかかわるような重要な行為です。ですから、他人(銀行など会社も含まれます)とお金のやり取りが発生する行為をする場合には、すべて契約によって為されます。

ただ、あまり重く考えなくても大丈夫です。家を借りるときや売買するときには貸借契約や売買契約を結びますね。お金についても同じですよ、ということを少し堅苦しく言っていると思ってもらって大丈夫です。

例えば、みなさんも銀行への預金はしていますよね。この預金も消費寄託契約という契約によって成立しているとされています。ATMでお金を出し入れすることも契約なのです。お金は大切なものですから、そのようにしっかりルールが決められていると覚えておきましょう。

ふっちゃん
そっか、お金が急になくなったりしたら大変だもんね

 

商品のタイプ

金融商品を分類するときには2つの方法で分類することが主流です。そのうちの1つの方法が商品のタイプになります。
商品のタイプは一番大きな分類として次の2つを抑えておきましょう。

  • 現物
  • 金融派生商品(デリバティブ)
ふっちゃん
また難しい言葉が出てきたよ…

デリバティブ(金融派生商品)という聞きなれない言葉が出てきましたが、まずは現物から話をしていきましょう。
現物とは有価証券や預金、ローンなどのことを指します。有価証券は証券が発行される金融商品で、今でこそ電子化されてしまい券を見ることはなくなりましたが債券や株式などは有価証券のタイプで発行されていました。個人が投資対象とするのはほとんどの場合現物です。ですから現物を理解していれば、投資商品について困ることはほとんどありません。

では、デリバティブは何かと言うと、先物やオプションといった商品のことを指します。先物は将来現物をある価格で売買する契約のことで、オプションは現物についての何かしらの権利(例えば将来安く買う権利)を売買する契約です。つまり、現物などをベースに新たに生み出された商品です。ただ、デリバティブは一部の投資信託に組み込まれているものの、積極的に投資する商品ではないので理解していなくても一般的な投資をするには問題ありません。

 

商品に含まれる資産

分類するときのもう1つの方法が商品に含まれる資産です。
資産には大きく分けると次のようなものが含まれます。

  • 負債(デット)
  • 資本(エクイティ)
  • 商品(コモディティ)
  • 外貨(カレンシー)

とくに有名なものが負債資本になります。
負債はお金を得た人が決められた日までにお金を返す契約です。いわゆる借金(ローン)です。お金を貸した人は契約で定められた利率の収益を得ることができます。
一方で、資本はお金を得た人がお金を出してくれた人に配当などの形で利益を還元していく契約です。お金を返す期限はありませんが、この資本を他の人に譲り渡すことでお金を回収することができます。いわゆる株式の中に入っている資産はこの資本になります。
それ以外にも、商品(金や原油など)や外貨(米ドルやユーロなど)といったものも金融商品の中に含まれる資産と言うことができます。

 

金融商品の一覧

今まで話してきた2つの分類方法で金融商品を整理しておきましょう。
ただし、金融商品は数限りなくありますし、今もなお新しい金融商品が登場しています。ですから、この一覧は金融商品のうち一部の代表的な商品だということも覚えておいてください。

現物 デリバティブ
有価証券 その他 上場 非上場
負債 債券 ローン・預金 国債先物
国債先物オプション
国債現物オプション
資本 株式 出資金 株式先物
株式先物オプション
ストックオプション
商品 金・原油 商品先物
外貨 米ドル・ユーロ 通貨先物 通貨スワップ

 

負債性商品

金融商品のなかでも一番身近なものがこの負債になります。一覧のとおり、預金なども含まれますから、日常的に触れている金融商品なのです。
預金のなかでも一番触れている「普通預金」も広い意味ではこのなかに含まれます。決められた日=いつでも、という風に読み替えていただくと納得していただけるのではないでしょうか。

 

物価との関係性

負債の物価との関係性はお金を貸す側と借りる側で分けて考えましょう
身近な例として、定期預金と住宅ローンを使うと…

  • 定期預金は物価が上昇すると損!
  • 住宅ローンは物価が上昇するとオトク!

になります。

定期預金は満期までお金が返ってきません。例えば1%の利息がついたとしても、物価が2%上がってしまった場合、預ける前に買えた商品が定期預金の満期の時には買えなくなってしまうからです。
一方で、住宅ローンの場合は1%の利子を払うとしても、物価が2%上がっていれば先に家を買っておいてよかった、ということになるのです。

これは物価が上がるということが1円あたりのお金の価値が下がることだ、ということを改めて意識するとわかりやすくなります。
お金を貸す側は決まったお金が将来返されます。ですから、将来返ってくるまでに1円当たりのお金の価値が下がってしまえば実質的に損をするということです。
一方で、お金を借りる側は決まったお金を将来返します。ですから、将来返すときに1円当たりのお金の価値が下がっていれば実質的に得をするということです。

 

負債の金融商品

負債の性質を持つ金融商品には次のようなものがあります。

  • 定期預金
  • 国債
  • 社債
  • ソーシャルレンディング
  • 不動産投資

この中の1~4まではお金を貸す側です。5はお金を借りる側です。
また、1と2は元本が返ってこないことは極めてまれですが、3と4はお金を貸した会社や事業が失敗することでお金が返ってこない可能性があります。5の場合は不動産という商品の価格変動の影響を受けます。
3~5は物価の変動以外の影響も受ける、ということですね。

5の不動産投資は物価が上がると不動産の価格も上がる可能性が高いので、物価が上がるとダブルでオトクになる可能性がある、と考えておきましょう。

 

資本性商品

資本性商品も金融商品のなかでは身近でしょう。株式が資本性商品にあたります。

企業やビジネスに対して資金を提供し、企業やビジネスから収益が出た場合には、その還元を受ける商品です。

 

物価との関係性

資本と物価の連動性は基本的に高くなります。
ただし、資本として提供する企業やビジネスによってその連動性は異なるため、注意が必要です。

  • 資本性商品は物価が上昇するとオトク!

企業などの基本的な収益はサービスやモノを売ることで発生します。物価は「モノとサービスの価格」のことでしたね。
物価が上がるということは、企業が提供するモノやサービスの値段が上がるということです。もちろんモノを作るための部品などの値段も上がりますが、利益率(1つのモノやサービスを売った時の企業の実入り)を一定に保った場合には、結果的に収益は大きくなるので、還元も大きくなると考えておけばよいでしょう。

 

資本の金融商品

資本の性質を持つ金融商品には次のようなものがあります。

  • 株式

資本性と言えば、株式です。

株式を保有している場合には物価の変動にある程度対応できると思って問題ありません。

ただし、個別企業の株式である場合には、物価の変動以上にその企業の業績などに強い影響を受けます。ですから、物価の変動にだけ対応する場合には株式相場全体に投資をするような方法を考える必要がありますので注意してください。

(参考)株式インデックス

金融商品(その2) ー 日本株インデックス

資産形成は物価という評価軸を持つことが非常に有効です。 その中でも、物価の上昇時にオトクな商品が株式です。 (参考) ただし、物価というものをベースに考えて株式に投資をするのであれば、個別の株式ではな ...

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その他の商品

金融商品の分類では、負債および資本のほかに商品や外貨がありました。これらについても簡単に説明をしていきます。

商品性商品と物価の関連性

商品の性質を持つ商品は例えば原油などです。これらの商品は当然モノなので物価の影響を色濃く受けます。ただ、物価が「モノやサービスの値段」であるのに対して、原油などはあくまで特定のモノの値段になります。ですから、物価が上がったからといって必ずしも上昇するわけではなく、個別のモノの需要などに大きく影響を受けます。つまり、

  • 商品性商品は物価が上昇したとしてもオトクとは限らない

ということになります。

 

外貨性商品と物価の関連性

最後に外貨性商品です。これは例えば米ドルといった日本円以外の通貨に換えて保有することです。

外貨性商品の場合、物価の影響を受けると言われています。ただし、日本だけではなく交換後の通貨を主として使っている国の物価にも影響を受けるとする説が有名です(例えば米ドルであれば米国の物価の影響も受けます)。つまり、

  • 外貨性商品は複数の国・地域の物価の関係性で決まる

ということになります。

 

まとめ

物価と金融商品の関係性について考えてきました。

資産形成のための商品を選ぶうえで、物価の影響をどのように受けるかはとても大切な要素です。

資産形成に利用する商品のバランスを決定するときに、物価の上昇や下落が起きた場合、オトクなのか損なのかしっかりと把握しておくことがオススメです。

チェックリスト

  • 金融商品はまず現物を理解しておく
  • 物価の上昇時にオトクなのは、株式や借金(負債性資産のうちお金の借り手になるもの)
  • 物価の下落時にオトクなのは、預金や債券(負債性資産のうちお金の貸し手になるもの)
  • 商品や外貨は物価の上下よりもほかの影響を受けやすい
  • 資産形成では物価の上下に強い・弱いを含めて資産構成を考えるのが大切

 

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