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金融商品(その2) ー 日本株インデックス

資産形成は物価という評価軸を持つことが非常に有効です。
その中でも、物価の上昇時にオトクな商品が株式です。

(参考)

ただし、物価というものをベースに考えて株式に投資をするのであれば、個別の株式ではなく、株式相場全体に投資をすることが大切です。

個別の株式に投資した場合は、その企業の業績などにより大きく株価が変動してしまい、その変動は物価の変動を大きく超えてしまうのです。ですから、個別の企業の業績の影響を極小化するようにすべての株式を購入することがよいでしょう。

ただ、株式相場全体を投資するのはとても困難です。株式を発行する企業は2021年6月2日現在で3,768社も存在するからです。このようにたくさんの企業に投資をしようとした場合、とてもたくさんのお金が必要で現実的ではありません。

ではどのように株式相場全体に投資するのか、今日は特に日本の株式について株式相場全体に投資する方法について考えていきましょう。

 

こんな方におすすめ

  • 長期的な資産形成として株式投資を検討している人
  • 日経平均やTOPIXといったインデックスに興味がある人
  • 個別の企業を分析する時間的な余裕はない人

 

インデックスとは

インデックスは市場全体の動向を示す指標や指数のことを指しています。つまり、株式相場全体に投資する=株式インデックスに投資する、ということになります。

このインデックスとは日本株式相場だけでも複数存在します。ただし、一般的によく使われるのは東証株価指数と日経平均株価になります。

  • 日本株のインデックスは東証株価指数と日経平均株価を抑えよう

そして、インデックスで特に確認しておきたいことは対象企業と算出方法です。さぁ、どのようなインデックスがあるのか確認していきましょう。

東証株価指数(TOPIX)とは

東証株価指数(通称TOPIX(トピックス):Tokyo Stock Price Indexの略)は東京証券取引所のなかの東証第1部に上場するすべての日本企業を対象とする指数です。

対象企業 東証1部に上場する企業(2021年4月末時点で2,188社)
(ただし、上場まもない企業などは対象外)
指数の単位 ポイント(円ではない)
算出方法 時価総額加重

算出方法

算出方法は時価総額加重と呼ばれる方法を利用しています。

時価総額加重というのは次のような計算をします。

企業名 株価 株式数 時価総額
A社 800円 1,000株 800,000円
B社 400円 500株 200,000円
時価総額合計 1,000,000円

通常の平均株価であれば、(800+400)÷2=600円です。

時価総額加重の場合、次のように計算します。

800円 × 800,000円 ÷ 1,000,000円 + 400円 × 200,000円 ÷ 1,000,000円 = 680円
(A社の株価×A社の時価総額÷時価総額合計+B社の株価×B社の時価総額÷時価総額合計)

このように平均して算出されますが、まだ単位は円のままです。ではなぜ単位がポイントになっているのかというと、同じように算出した1968年1月4日の株価を100として算出しているからです。

過去の推移

TOPIXは株式相場全体の影響を受けて推移します。

このため、景気などの影響も強く受けながら推移しており、バブル崩壊の前に最高値を付けたあと下落し、リーマンショックのころにも大きく下落し、その後2013年ごろからは徐々に回復しています。

 

日経平均株価とは

日経平均株価(別称日経225)は日本経済新聞が日本を代表する代表的な企業を対象とする指数です。

対象企業 日本経済新聞社が選ぶ日本株を代表する企業(原則として225社)
指数の単位
算出方法 株価平均

算出方法

算出方法は選んだ225社の株価の平均値を取ります。基本的には単なる平均値ですが、株式併合や株式分割が発生した場合にはみなし額面を調整することによって、日経平均株価が急激に変動しないようになっています。

過去の推移

日経平均株価は225社とTOPIXに比べると選ばれている企業数はかなり少なく、その計算方法も違いますが、バブルのころに最高値を付け、最近はまた徐々に上昇傾向となっているなど、TOPIXとの連動性がかなり高いことがわかります。

 

NT倍率とは

日経平均株価がTOPIXと連動性がかなり高いと書きましたが、この2つの関係性を表すものとしてNT倍率と呼ばれるものがあります。Nは日経平均株価、TはTOPIXの略で出し方はシンプルに日経平均株価÷TOPIXになっています。

過去の推移

上下はあるものの、株式市場のインデックスほど大きく変動はしていないことがわかります。

これは対象としている企業の違いなどがこのように表れているということになります。

 

インデックス投資とは

ここまでインデックスについて理解を深めてきました。

では、このインデックスにはどのように投資すればよいのでしょうか。

方法は次の2つです。

  • 投資信託を購入する
  • 先物を買い建てる

投資信託はなんとなく聞いたことがあるかもしれませんが現物の1つです。先物というものはデリバティブの1つです。

(参考)

 

先物は最小ロットが大きく個人取引には向かないため、個人が資産形成で投資するには投資信託を利用することになります。

また、投資信託のなかでも上場・非上場があり、その特色が異なるので確認しておきましょう

 

上場投資信託(ETF)とは

上場投資信託のことをETF(Exchange Traded Fundの略)と呼びます。

その名のとおり、取引所に上場しているため取引所が開いている時間であれば、通常の株式と同様にリアルタイムで売買することができます。これ以外にも次のような特色があります。

取引タイミング 取引所が開いていればいつでも
購入価格の指定 指値により指定可能
保有コスト 信託報酬と呼ばれるコストが安い
分配金 払い出される
価格 市場価格と基準価額が存在する
自動積立 必ずできるわけではない

投資信託には保有コスト(管理をしているアセットマネジメント会社に支払う信託報酬)がかかります。ただ、非上場投資信託に比べてETFの場合はこの信託報酬が安く設定されていることが多いです。

保有コストは持っているだけでかかっていくコストなので、当然安いに越したことはありません。その点は非常に有利な商品になっています。

一方で、市場価格と基準価額という2つの価格が存在します。

取引をする場合には市場価格を用いて取引します。売りたい人と買いたい人がいて初めて取引が成立しますから、その釣り合った値段が市場価格になります。一方で、中に入っている個別の会社の株式の価格から算出される値段が基準価額になります。

結果としてこの2つの価格が異なる場合があります。乖離としては小さいものの、2つの値段があることがETFの難点で、特にあまり使われていないETFではこの乖離は大きくなりやすくなります。

 

非上場投資信託とは

ETFとは異なり非上場投資信託は上場していません。ですから、取引所が開いていればいつでも取引できるというわけではありません。

取引タイミング 多くの場合は1日に1回
購入価格の指定 指定できない
保有コスト 信託報酬と呼ばれるコストが高い
分配金 払いだしたり再投資したりできる
価格 基準価額だけ
自動積立 基本的にはできる

ただ、投資信託によって分配金などの処理方法が異なっており、目的に応じて適切なファンドを選ぶことができます。

例えば長期投資をしている場合には分配金としてお金が返ってくるよりも、分配金の分買いましてもらった方が複利効果が働いて収益率が高まります。ファンドの選び方で楽をしながら投資することができます。一方で、その分保有コストが高くなります。持っているだけで払うコストですから、自分で複利効果を得るための取引をこまめにできる人はETFの方が向いている、ということになります。

 

まとめ

株式相場に投資するときのインデックス投資について考えてきました。

個別の株式の影響を減らしつつ、株式相場全体に投資ができるインデックス投資はとても有用です。

特に長期の資産形成にあたっては、物価との連動性も期待できる株式インデックス投資は最も利用しやすい商品になります。

チェックリスト

  • インデックスはたくさんあるが日本株ならTOPIXか日経平均株価
  • インデックスに投資する場合は基本的に投資信託を使う
  • 投資信託のなかには上場・非上場がある
  • マメな人は上場投資信託(ETF)がおすすめ
  • 放っておきたい人は非上場投資信託がおすすめ

 

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